第17話:乾燥対策—食べもの編
さてさてみなさま。料理研究家の肌って、概して美しいと思いませんか? それほど美容に関心なさそうな方でも、肌はしっとりつややかで白い、ということが多いように思います。たとえば平松洋子さん、たとえば有元葉子さん。憧れの料理研究家のみなさんの肌は、目立つシミなく、ぴんとしたハリも素晴らしく。やはり、きちんとした栄養を日々取りいれているからではないかと。食べものコンシャスになることが、美容の近道ではないかと思えてなりません。
きっとみなさんも、○○鍋を食べたら翌朝の肌がしっとりしていた、とか、○○のサプリメントを飲んでいたら肌がすっかり白くなった、などなど、栄養と美肌のつながりを実感した経験があると思います。そうやって自分なりの、「これを食べるとこうなる」法則を見つけていくのはとても大切。それはもちろん、よいものだけでなく、避けるべき食べもの、自分に合わないものを見つけていく作業でもあります。もちろん体質や体調は年齢とともにゆるやかに変化していきますし、季節によっても違いが出ます。それも含めて、自分の肌とからだを知っていくことは生きている限りずっと続けていくべきではないでしょうか。
今回は現在知られている、美容に有効と思える栄養と、その取り方のコツをご紹介したいと思います。栄養の世界も日々新しい事実が発見されているので、これからもみなさまなりに情報収集&ご自分に合うものを見つけていってくださいね。
美肌のためにコラーゲンのサプリメントを飲んでいる方が増えたように感じます。確かに肌に必要な成分ですが、コラーゲンだけではあまり意味がないのをご存知でしょうか。コラーゲンは鉄分やビタミンCと一緒に摂ってはじめて、肌の材料として使われます。反対に言えば鉄分やビタミンCがなければ、コラーゲンは美肌に変われないのです。だからコラーゲンのサプリメントを飲む場合には、鉄分やビタミンCを含む製品を選んだり、食べものやサプリメントで同時に補うのがポイントです。ちなみに、タンパク質やアミノ酸も、分子の大きさが違うだけで実質的にはコラーゲンと同じものです。ただし、アミノ酸やアミノペプチドはより吸収されやすいと言われています。
もうひとつうるおい対策として摂りたいのが、オイルです。細胞間脂質として肌の内側を満たしたり、肌の細胞膜となってしっとりした状態を保つので、実はかなり積極的に摂りたい栄養なのです。オイルというと太るイメージがあるかもしれませんが、「必須脂肪酸」は生きていくために必要不可欠な栄養。摂らないと肌と身体の健康を保てません。(オイル抜きダイエットで肌がガサガサになったとか、体調を崩したなどと聞きますよね)。必須脂肪酸にはオメガ3と6があり、特にダイレクトなうるおい効果を発揮するのがオメガ6。これは何と、お肉に含まれる脂肪酸。よく、ご長寿なのにお肌つやつやのおばあさまが、お肉大好きと公言したりする。あれはお肉に含まれるオメガ6が肌細胞と肌細胞の隙間を埋める細胞間脂質となって、肌のうるおいをがっちりキープしているからなのです。ほかにバターなど動物性脂肪はたいていオメガ6。摂り過ぎはよくありませんが、適度な摂取は美容と健康にとてもよいのです。もうひとつ、オメガ3も忘れてはなりません。これは脳の健康や心の安定、ホルモンバランスを整えるなどの健康効果で知られています。お魚、特に青もののお魚に多く含まれていますから、週に何度かは忘れず食べたいものです。(体内で生成できるので)必須脂肪酸ではありませんが、オリーブオイルに含まれるオメガ9も積極的に取りいれたいオイル。オリーブオイル食べてる国って、人々の肌がつやつやですもの。イタリアではお腹の調子が悪いとき、コップ一杯のオリーブオイルを飲むそうで、胃腸の調子を整える効果があるそうです。胃腸の状態が良いと、肌もキレイになりますから、オリーブオイルも一日大匙一杯ほどは摂りたいなと思います。お味噌汁にたらしたり、パンを浸して食べたり。実は私たちの食生活に馴染みやすい味だったりもしますからね。
これらの良質な油分をちゃんと摂り、反対にトランス脂肪酸が心配されるショートニングやマーガリンは徹底的に排除していきましょう。ちなみに最近注目のココナッツオイルは、肌にも脳にもいいのに加えて、なんとダイエット効果まであることが分かってきました。今まで美容の敵とされることが多かったオイルですが、これからは美容に欠かせないものとしてますます身近になっていきそうです。もちろん、ヘキサンなどの薬品で抽出した製品ではなく、コールドプレス(冷温圧搾)と記載された、できるだけナチュラルなオイルを、酸化するまえになるべく早く食べるようにしてくださいませね。
最後におすすめしたいのは、日本人の肌や体質に合うと思われる酒粕やぬか漬けです。酒粕は、続けて食べていると必ず肌を褒められる、私の必携アイテムなのです。アミノ酸や各種ビタミン・ミネラルのほか、ほんのり残ったお酒成分による血流促進効果も感じます。私は酒粕に味噌を少々とはちみつを混ぜたものを冷蔵庫に常備し、味噌汁や鍋ものに入れたり、面倒なときはそのまま食べたりしています。寝る前に小腹が空いたときにぺろりと大匙一杯ほど食べるのもいいですよ。一方のぬか漬けは、こんなにミラクルな食べ物は世界中どこを探してもないのでは、というくらい凄い食品。なんといっても、植物性乳酸菌なのですもの。ヨーグルトなど動物性乳酸菌よりも、日本人の長い腸に合うようです。塩もみして漬けるだけで、高価な乳酸菌サプリメントもかなわないくらいの整腸&美肌効果を発揮してくれるのですから、活用しないテはありません。すでに美味しく調整されたぬか床を購入してきて、少しずつ自分好みの味に育てていけばいい。例えば最初は昆布を入れてキャベツの芯などを捨て漬け。春は山椒の実、夏は赤唐辛子、冬はにんにくなど、季節の味わいを足していくのも楽しいです。毎日混ぜられなくても、冷蔵庫に入れておけばだいじょうぶ。
肌を潤し健康にする栄養素は、同時にからだや心、脳の健康にも役立ちます。いつまでも健やかで美しくあるべく、何を食べるかを大切に考えてまいりましょう。